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内容も戦略もすごい… そんなnoteは「スキ」から生まれていた。

フラッグ広報室のタカバシです。

note をほぼひとりで運用しているという、球磨焼酎「白岳しろ」の中の人に会いに、熊本県人吉市を訪ねました。

待ち合わせは高橋酒造の工場の近くにある「球磨焼酎ミュージアム 白岳伝承蔵」です。

球磨焼酎ミュージアム 白岳伝承蔵

その外観はまさに「蔵」といった感じですが、中には展示スペースやホール、ギャラリーがありました。

物販・試飲コーナーがあったので、引き寄せられそうになりましたが…

まずは白岳しろ note に時々登場する(いつも美味しそうなものを食べている印象…)会議室でご挨拶をさせていただき、そのままインタビューとなりました。


高橋ホールディングス株式会社 ブランド戦略室 松尾太郎さん

どうしてひとりであんなにすごい note が書けるのか?

タカバシ:「白岳しろ」の note が毎週更新されているんですけど、そのクオリティがすごくて、しかもひとりで運用されていると知ってめっちゃ驚きまして、今回ここまで来てしまいました。元々、ブログやオウンドメディアの執筆や運用について、ご経験があったんですか?

松尾:いえ、無いです。mixi くらいです。

タカバシ:え! それは意外でした。では「note 戦略の記事」を読んだんですが、普通の人が考えられる内容ではなく、プロの仕事だと感じたんですが、戦略を立てるということに関してはいかがですか?

松尾:ありがとうございます。それで言うと、元々、興味があったのが会社経営とか戦略という部分だったんですよね。以前は東京で働いていて、中小企業の社長さんたちと関わっているうちに、いつか自分でも商売をしてみたい、と思っていました。

それで実家の家業を継げばそれができると思って、仕事を継ぐつもりで帰ってきたんですよ。ただ、珍しいケースだと思うんですが、なかなか合わずにそこを辞めて、それで高橋酒造に入社しました。まあ、当時から会社の戦略を含め、中小企業の社長さんからお話を伺うことが好きだった、ということですかね。

タカバシ:高橋酒造に入社されたのが3年前… 3年前は豪雨で球磨川の氾濫がありました。ちょうど松尾さんが入社されたくらいの頃ですよね?

松尾:僕が来た時は災害の後で、道は通れないし、この白岳伝承蔵に来ることもできない、という状況でした。数メートルの高波が全部覆い尽くして、流していったので… 入社した時は泥かきから始まりました。高橋酒造も製品が3万本くらい浸かってしまったんですけど、それよりも球磨川の近くが軒並み浸水してしまっていたので、お付き合いのある酒屋さんとかに行って泥かきをしていました。

タカバシ:僕も昨日、人吉の街を歩いてみて、居酒屋でお話を伺って、事態の深刻さに気づきました。

松尾: ただ、あの災害で球磨川を悪く言う人はひとりもいないんですよね。やはり皆さん、球磨川と生きてきたんですよね。ここは本当に球磨川の土地なんだな、という気づきがありました。

熊本県一の川、球磨川

タカバシ:松尾さんが在籍しているのは「ブランド戦略室」になりますが、何名在籍されているんですか? 

松尾:今、私を含めて4名です。

タカバシ:そこに常務から note の話が来て、note が始まるんですが、まずは何から始めたんですか?

松尾:「まずは書く」ということからですね。最初は型どおりに焼酎の記事を書いていたんですけど、はじめて社員インタビューをした時に「これは面白いぞ!」と気づきました。note という媒体を使うのであれば、ある程度自分で好きに企画して形にできるな、って気づいて、そこから記事の方向性が変わりました。

タカバシ:記事の方向性が変わっていくのと、高橋酒造に加わった松尾さんが「白岳しろ」を好きになっていくって同じくらいのタイミングでしたか?

松尾:そうですね。元々、入社した時は「白岳」というお酒があることも知らなかったんですね。そこで社内のことやお酒のことを調べるんですが、調べれば調べるほど愛着が湧いちゃって、相乗効果でどんどん加速していきました。

「白岳しろ」をつくっている工場。蒸留器のネックにあるしめ縄がいい雰囲気。

タカバシ:そういうのって、一定期間が経つと倦怠期みたいになりませんか?

松尾:そうですね。倦怠期もありますけど、とにかく知らないことばかりなので興味は尽きなかったですね。

タカバシ:ブランド戦略室があるとはいえ、ひとりで note を運営していく… ネタ出しもそうですし、1年後、2年後のことを当事者意識を持って考えるのって基本的には自分じゃないですか? そういう時の判断で迷ったりすることはありませんか?

松尾:まず、元々、経営者になりたい、という想いもあったので、個として自意識が強いという特性があったんだと思います。他の人に「思考する」段階でなかなか振ったり、任せたりできるものでもないですし、みんなで意見出しをしても最後は自分の意見を通したくなっちゃうので、そこを敢えて譲っていない部分もあります。

楽しいこと、なんとかしたいこと

タカバシ:御社では、いろいろなソーシャルメディアの運用をされていると思うんですが、松尾さんが担当されているのって、どこからどこまでなんですか?

松尾:ソーシャルメディアは TwitterInstagramFacebook のアカウントがありますが、基本的にすべて担当しています。Instagram の撮影や広告運用は別のスタッフと一緒にやっています。

タカバシ:プラットフォームごとに特徴が異なると思うんですが、それぞれ手を変えて運用されているってことですよね?

松尾:note はストーリー、Twitter はコミュニケーション、Facebook は焼酎のヘビーユーザー向けにやっています。やっているうちに少しずつ、それぞれの特徴を掴んでいきました。

タカバシ:ともすれば、企業のアカウントって、どのプラットフォームでも同じように情報を出したり、コミュニケーションが一緒だったりすることもあるんですが、「白岳しろ」のアカウントってみんなバラバラで、それぞれが兄弟のようなイメージです。時々、Instagram で見た「and SHIRO」が note に来たり…

松尾:「and SHIRO」は連動企画で、インタビューや Instagram のテキストなどはパートナーさんと協力して作っていますが、note に関しては僕が執筆しています。なので、最近、東京に行くことが増えました。

タカバシ:いいなぁ。あれは楽しいですよね。

松尾:はい、楽しいですね。タカバシさんもそうだと思うんですけど、取材が好きなんです。いい取材ができると、なんかホクホクして、その日のお酒も美味しいという。

タカバシ:ちなみに、インタビューする時、取材する時ってずっと録音しているんですか?

松尾:いや、僕は全部ノートに書いてます。事実に齟齬があったらいけない、という場合以外は録音はしないですね。僕、録音していると全部書きたくなっちゃうんですよね。それよりも、話題の中の幹みたいな部分に出会った時に、ノートだと大きく書いてたり、何度も書いてたりしているので、それを編集していく感じですね。

タカバシ:note を運用していく中で「なんとかならないかな」と思っていることってありますか?

松尾:ここだけの話、週イチの更新をいつまで続けられるかなって思っています。毎週一週間がすごく早くて、追いかけられてるような気持ちです。終わった瞬間の安心感というか…

タカバシ:イシダテックの小山さんもおっしゃってました。

松尾:あとはマンネリにならないように気をつけてますね。例えば、インタビューをしていても、オチの付け方とかストーリーの展開とか、型にハマってくると「なんかこの話、前も見た」みたいなことを自分で読んでても思うんですよね。

タカバシ:それこそ毎週やっているから感じることかもしれませんね。僕はどちらかというと、型がある方が見ている人が安心する部分もあるんじゃないかと思うんですよね。型がつくれるのであれば、それでやっておいて、時々変化球を投げるみたいな方がいいかな、って思っちゃうんですよね。

松尾:あ、それもわかります。ただ、今のところは型を決めずに、取材対象やテーマが一番輝く形を考えています。あとは、記事を読んでいただくということは、5分なり10分なり時間を使ってくれているということなので、その方たちに「読んで良かったな」と思ってほしいっていう気持ちもあって、だからやっつけられないですね。九割くらい書くと、最後やっつけたくなる、雑になりそうになるんですけど、その辺は自分を引き締めてます。

タカバシ:推敲って何回くらいしますか?

松尾:結構しますね。例えば、スマホの小さい画面で見て、1文字はみ出て終わる行があったら、それがすごい気になるんで、それが出ないようにリライトしたり… というのを家でお酒飲みながらやってます。そういうことをしていると「自分の文章っていいなぁ」って結構前向きな気持ち、フワッとしたテンションになるんですけども。

タカバシ:そこでやりすぎないんですね。酔ってくると、もうちょっと過激に書いてみようかとか、無いですか?

松尾:それは朝見ると気づきます。夜のラブレターですね。なんじゃこれ、みたいな。「白岳しろ」ってお酒も飲みやすくて柔らかなので、文体も綺麗にしたいですし、攻撃的にもしたくないですし… 

タカバシ:白岳しろ note も最近はスキがとても多くついている印象です。どれくらいの人に見てもらえるかとか、どれくらいスキを押してもらえるかって、だいたい想定通りですか?

松尾:いや、最近がちょっとおかしいんです。去年はスキが50いってるのなんてあまり無かったんですよ。ただ、こうなってくると自分の中でも天狗感が出てくるというか、人間って弱いんで、易きに流れるんです、スキ欲しさに。だから「そういう note じゃなかっただろ!」って、スキのことは一回忘れて書いています。無心で作らないと、ちょっと寄せにいっちゃうんですよね。

タカバシ:では、note で書かないようにしていることとか、触れないでおこうと決めていることはありますか?

松尾:事実だけを書くことはしないようにしています。例えば、イベントの note だとしても、イベントをやりましたということは極力書かないようにしています。なぜイベントをやったのかとか、それによって何が変わったのかとか、背景 や Why、ストーリーが無いと書かないようにしています。note を読んでいる人も、それがないと見たくないと思いますし。

松尾さんが絶対に見ない note とその理由

タカバシ:今後 note を使ってどういうことがしたいとか、コミュニティでこういうことがしたい、みたいなことってありますか?

松尾:続けていくというのが、ひとつ大きなテーマとしてあります。何が一番きついって続けることなので… 地味ですけど、これはブレずにいきたいですね。

タカバシ:そうなると、週イチは削れなくなりますよね。そこを隔週でいいかってなったら、そこから終わりに向かっちゃう気がしますし…

松尾:妥協感がハンパないですよね。あとは、書き続けながらも、飽きずに、飽きられずにできるように変えていかないと、と思っています。他のメディアではできない、note だからできることがあると思うので、他ともうまく連携しながらやっていきたいですね。

タカバシ:以前の note で「法人noteが書けるようになった、おすすめ書籍3選」という記事がありましたが、ライティング以外にデザイン等についてもインプットはされているんですか?

松尾:いえ、デザインに関しては特段ないんですけど、他の会社さんの note は結構見ます。「僕はどうしてこのデザインをいいと思うんだろう?」という感じで、いいと思ったものを掘り下げますね。ただ、シャープさんだけは見ないようにしています。

タカバシ:え、それは…?

松尾:嫉妬しちゃうからです。初めて読んだ時に衝撃を受けたんですよね。「なんだこれ、読ませるな〜、面白いな〜!」って。僕の中ではシャープさんがキングですね。あれは本当に中の人が書いてるんだとしたらとんでもないと思ってます。ほんと、嫉妬するくらい面白いです。

タカバシ:フラッグの note でインタビューをしているのもそうなんですけど、書いている人のプロフィールだったり、パーソナリティって気になりますよね。

松尾:なりますなります。僕が言うのもなんですけど、シャープさんはフォローしておいた方がいいと思います。ただ、見ると自信を無くすかもしれないから、用法用量ちゃんと守ってくださいね。


以上、白岳しろ note を運用している高橋ホールディングスの松尾さんへのインタビューをお届けしました。丁寧にご対応していただいた高橋ホールディングスの皆様、松尾さん、本当にありがとうございました。

松尾さんは好きだったことを叶えつつ、出会ったものを深掘りすることでそれも好きになり、スキを広げていく… お話を伺って、まさに「FAN」で「FUN」をつくっている方だと思いました。

今回、白岳伝承蔵だけではなく工場も案内していただき、球磨焼酎に関する知識も深まりましたが、何よりも球磨川とそこに住む方々や歴史にも興味が出てきました。食事もお酒も美味しくて、温泉もあって… 今度は家族を連れて人吉球磨を訪れて、好きを広めてみようと思います。

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